自然体
2021-05-11 | 想い
ヨセミテ国立公園 2018.3.25
僕にとってのバイブルともいえる、愛読書の1つに
『No Bad Waves:ミッキー・ムニョスが語るストーリー集』 | パタゴニア公式サイト | No Bad Waves (hardcover) – Japan (patagonia.jp)
が、あります。
サーフィン哲学がびっしりと詰まった内容なのですが、
その中の1つに、「岩のように考える」という章があります。
僕には、サーフボード製作を続けていくにあたり、長年にわたり苦悩し続けていることがありました。
それは、「サーフボードビジネスは石油製品を主とした化学的な材料に頼り切っていること」です。
考えれば考えるほど、答えが見つからない日々を過ごしてきました。
今だから言えることですが、
数年前、サーフボード製作をやめようとした時期もありました。
そして、サーフボード販売を始めた初期からお世話になっている販売店の方に、
「やめようと思っています」と相談したのです。
返ってきたお答えは、
「ムネトヨさんが創ったサーフボードを楽しみにしているお客さんがいるんです、
気の向いた時でも、少数生産でも良いから、続けてください。」 と、いうことでした。
そのお言葉に救われ、今に至っています。
2013.12 八山の大桐 宍喰・八山の工房にて、感謝の原木祭を執り行いました
2012年から ムネトヨサーフボード / ルロクラシック として、
取り組んできたことに、[ Wood Project ] と、いうものがあります。
2012.5.9 山にキリの苗木を植樹したところから始まりました。宍喰・日比原地区 タコゼにて
サーファーとして、サーフィンを中心に時間を過ごす中で、
「木のサーフボード」に対する憧れを抱いていました。
何とか、自分のモノ創りに反映できないか、と、
Wood Projectを立ち上げました。
今だから言える、決して人には言えなかった恥ずかしいお話ですが、
商いを営んでいる方々と同様に、銀行から、自分にとっては大きなお金を借り入れ、
それにつぎ込んでいる時期もありました。
Wood Projectと共に取り組んできた、
良い意味で、「江戸時代のような暮らしを再現するライフスタイル」にも、
本当に大きな犠牲を払いました。
今考えても、反省しかありません。
これも、今だから言える、とても恥ずかしいお話です。
僕の未熟さからくる不徳を働き、
取り返しのつかないご迷惑をおかけしてしまったりもしました。
そんな中でも、たくさんの方々に支えていただき、助けていただきながら、なんとか今があります。
本当に反省しかありません。
そして、そんな日々を過ごしながら、まだまだではありますが、
徐々に感じてきたこと、大切にしていきたいなあ、と思えること。
とにかく、一生懸命に誠実に。
めげずに、しぶとく、やり続ける。
行き詰まったら、休めば良い。
そして、また、歩みだす。
一歩一歩の積み重ね。
ダブルオーバーヘッドの波を自作の木のボードで滑走。
夢が現実になった瞬間。
木のボードにこだわりを持って製作を続けてみて、
「販売するにはコストがかかりすぎること」に直面しました。
なぜ、コストがかかるかというと、「手間がかかる」からです。
そのほとんどが、「手間賃」なのです。
国産杉をストリンガーに使用するテスト
日本国産、特に、地元の山の恵みを活かした材をハイブリッドな形で、
機能性が良く、見た目も美しいサーフボードにアウトプットする実験。
銘木杉のストリンガー、桐のノーズブロックを使用した、8’10″グライダーガン
「 山から川へ、そして海へ 」
素敵な物語のストーリーテラーに任命、快諾してくれた高知県・土佐清水の中学2年生、然くん。
[ SURFING IS FUN , Zen Fujisawa ] Footage by Zen
CORE FOAM JAPAN が提供する、海部川上流のブランド木材「木頭杉」を使用したブランクス。
これを使用することで、地元の森林事業者に対するフェアトレードが微力ながら成立します。
空から舞い降りてきた水が、
山から川を流れ、
人々の生活にとって大切な生活水となり、
海へと流れ出る。
僕たちは、
そこでサーフィンを
させてもらっているのです。
岩だらけのショアブレイクでのボディーサーフィン。
波と岩が一体となるエネルギーに身を置く。
何とも言えない、緊張感に触れる。
2018.3.26 極限状態の緊張 ターニングポイントとなったヨセミテ国立公園への遠征。
ハワイ・オアフ島サンセットビーチから、マウイ島・ピアヒを経て、
その足でカリフォルニアに渡り、鉄道とバスを乗り継いで、憧れのヨセミテへと辿り着きました。
クライミングシューズも持たずに、何の知識もないまま、
心の向くまま、、、
今、思いかえすと、「感動」と「恐怖」しかありません。
そして、、、
子供たちと岩遊び。
2019年に日本初の、「パタゴニア アンバサダーツール会議」が徳島県海陽町で行われた際、
パタゴニア・アンバサダーのジャンボ横山くんと、倉上くんが前入りしてクライミング。
ルロクラシックゲストハウスに泊まってくれたのをきっかけに、
初歩的な、岩の見方やクライミング哲学などを教えていただきました。
ありがたい限りです。
感謝いたします。
2019.5.30 ルロクラシック ゲストハウスにて
横山「ジャンボ」 勝丘 | パタゴニア | Patagonia
クライミングを教えてもらった岩場。足元には海洋漂流ゴミが、、、
2019.5.26 「岩の先生」と「生徒」の図
「幸運」
ありがたい幸運はみんなで共有。
お母さんと海に遊びに行って、波で遊んで、岩を登る娘。
そして、岩から下りてきたら、また、波で遊ぶ。
子供たちにとって、岩登りは自然のジャングルジムで遊んでいるみたい。
それは、大人にとっても同じなのかな。
山道を駆ける子供たち。
大地を踏みしめ、緑に包まれ、汗をかく。
宍喰の波
「岩のように考える」
波に乗り、海に抱かれる「喜び」
農作業を通じて、食のありがたさを感じる「喜び」
山道を通じ、緑の大地から感じる「喜び」
家族や仲間たちから与えていただいている愛ある「喜び」
そして、
悩みを抱えながら、サーフボード製作を続けていくうちに
応援していただいている皆さんや、お客さんから与えていただいた、
「喜び」
2016.1.7 シェイピングベイにて 父と子の共同作業
今、大切に思っていることは、
少しでも、今よりも明るい未来に向けたアプローチ。
未来の子供たちに向けたメッセージとは何か?
海の環境を考えた際に、
本当に微力でも良いから、どうすれば、仕事を通じて環境に貢献できるのか?
そんなことを、想っております。
地域の方々と共に行ってきた、アウトドアアクティビティーや農作業を通じて
自然の恩地に触れる体験を提供する教育プログラム。
実際にお会いして、シェイピングベイでセッションしながら、
「創り手」と「使い手」が一体になれるような
「モノ創り」をさせていただけること、重ねて感謝いたします。
どうぞ、お気軽に合いに来てくださいね。
「シェイピングベイでお待ちしております」
Munetoyo surfboards
田中宗豊